さて……この前はサイクリングってものがいかに面白いか、ってことについて話した。そこで今回は、実際にサイクリングに行くときのことについて話そう。全部ぼくの経験に基づく話だから、具体性があって実践的な内容だと思うけど、多少は価値観のずれがあるかもしれない。そこはお詫びするけど、これは決して「サイクリングに関する諸注意」の記事じゃないから、お好きな飲み物でも飲みながら気楽に読んでほしい。
もっとはっきり言うなら、これを読むヒマがあったら実際にサイクリングしに行ったほうがいいかもしれない。これから話すことは、実際に走れば自然と体得できるようなことばかりだから。
ゴールを設定してみよう
初めてサイクリングしに行く人は、とりあえずどこに行くのか決めよう。サイクリングのゴールを設定するんだ。
カフェとかレストランとか公園とかは、友達や家族と行きやすいだろう。1人なら古いカメラ屋さんとかアートギャラリーみたいな趣味全開のとこでも構わない。フリマやマルシェ、なんとかフェスとかみたいなイベントに行くのも面白い。ゴールに楽しいことが待っているなら、サイクリングのモチベーションも上がるからね。自分が少しでも行きたいと思える場所に行こう。
それでも、行きたいところがちょっと遠くて自転車だけで行けるかどうかわからない、なんてことがあるかもしれない。詳しいことは後述するけど、そういうときに無理してまで自転車で行く必要はまったくないからね。電車か車で行ったって誰も文句は言わないし、サイクリングの道中で何が起こるかは誰にもわからないんだから。
ここから話はすこし逸れる。
最初のサイクリングは、ギリギリ歩いて帰れる距離にしておこう。
だいたい10kmくらいがいい。繰り返し言うけど、サイクリングは何が起こるかわからない。トラブルはいつでもついて回るものだ。自転車そのもののトラブルもあるし、何か忘れてしまうとか、雨が降るなんてトラブルもある。
僕もいろいろ経験した。家から20km離れたところでパンクしてしまったり、土砂降りの中を走ったこともあった。でも、そんな記憶に残るほどひどい目にあったのも、サイクリングが趣味になって1ヶ月とか2ヶ月とか、乗り始めの頃に集中している。
自転車に「乗る」ことに慣れてないうちは、みんなも何かしらのトラブルを経験すると思う。でも、一度経験したことは、人は絶対に忘れない。頭に残らなくても、身体は必ず覚えている。
トラブルの対処法だけに留まらず、家を出るとき何を意識したらいいのか、走るときはどこを見るのか。そういうのをだんだんと体得していく。サイクリングしているうちに、みんなは自然と自転車に乗るのが上手くなり、安全に走れるようになるんだ。
経路を調べよう
閑話休題~
目的地を決めたら、次はどこを通るのか考えよう。あなたは電車で移動するとき、どこで乗って、どこで乗り換えて、どこの改札から出るのか、googleマップを参考にしながら考えるだろう。それと同じで、自転車でどこを通るのかは割と重要になってくる。
大きな幹線道路を走るのか、そこから少し離れた細い道を走るのか、遊歩道やサイクリングロードを走るのか。
大きな道なら目的地までの道筋がわかりやすいし、何度も曲がったりしなくて済むから迷いにくい。でも、車通りが激しいから、慣れてない人は走るのが怖いと感じるかもしれない。細い道は走りやすいけど入り組んでる場合が多いから、いつも通っているような地元の道じゃない限り、止まってはマップを確認して、また走り出して……を繰り返しながら走る羽目になる。めんどくさいよね、まったく。
googleマップは自動車の道筋と徒歩の道筋の両方を考えてくれるけど、自転車の場合は考えてくれない。マップに従って走ったばかりに高速道路みたいな道を走らされたとか、迷路みたいな道を走らされたとか、うんざりするほどよく聞く話だ。だから……
なるべくサイクリングロードを走ろう
自転車移動で1番走りやすい道はやっぱりサイクリングロードだ。川沿いにあるような、広くて綺麗に舗装された道がイメージしやすいと思う。堤防があるような大きな川にはだいたいサイクリングロードがあるから、目的地までの方角沿いに川があるなら多少遠回りしてもそっちを走った方がいい。googleマップは自転車の道筋は考えてくれないけど、サイクリングロードの場所は教えてくれる。googleマップが教えてくれた道筋を、自分の頭で考えて再構築すればいい。聡明で賢いみんななら簡単だろう?
サイクリングロードはずっと一本道で信号もないから、迷うことはほぼ無いし、スピードに乗ったまま快適に走ることができる。猛スピードで突っ走る車もいないから、轢かれる心配もない。危ないものだって、横に広がって走るママチャリ集団とか、ヒモを馬鹿みたいに伸ばして犬を散歩させてる人くらいだ(犬には気をつけよう、ホントに)。それに屋外で風も吹いているから、必ずマスクを着けなきゃいけないこともない。コロナウイルスが流行っている今だからこそ、みんなも開放的なサイクリングで息抜きしたらいいんじゃないかな。
ただし、夜中の河川敷のサイクリングロードだけは絶対に走らないほうがいい。街灯がひとつも無くて、自転車のライトじゃどうしようもないくらい完全に真っ暗だから確実に迷う。場所によっては一般道とサイクリングロードが遠く離れていたりして、どうやって車道に戻ったらいいのかわからなくなることもある。
「それくらい誰にでもわかるよ」っていう意見はありがたく受け取っておくことにしよう。しかし、サイクリングが長引いて帰る時には日が暮れてしまったらどうする? そのとき、行きでサイクリングロードを通ったらから帰りも通らなきゃいけない、なんて考えが頭をよぎったらどうする?
心理的に、人間は一度通った道、覚えた道を無意識のうちに選んでしまう。通ったことのない道より、一回でも通った道の方がなんとなく安心する、という気持ちはたしかに理解できる。でも、サイクリングで絶対通らないといけない道、なんてものはない。その道を走りたくてサイクリングする場合は別だけど……とにかく、通る道は時と場合に合わせて、適度に変更していこう。早い話が、リスクマネジメントってこと。
私のサイクリングは…
僕にとってサイクリングはただの遊びだ。何が楽しいのかと聞かれても、単に自転車でマイペースに走るだけで楽しいんだからそれ以上の答えはない。でも、乗っているときに僕はいろいろなことを考える。別に悩んでいるわけじゃないよ。例を挙げるなら、ここで話したことは正にサイクリングしながら考えたことばかりなんだ。
さわやかな風を受けながら自転車を無心に漕いでると、なんとなくいろいろなことに注意が向くようになる。それは路上の障害物だけじゃなくて、心のどこかに引っかかっているもの、ぼんやりしたままのものにも気がつくようになる。面白いハナシのアイデアを思いつくことだってある。
みんなもサイクリングに出かけて、いろいろなことを考えてみてほしい。何かしら思いつけたのなら、良いお土産を手に入れたようなものだ。得るものがあるなら、通勤以外で自転車に乗るのもそんなに無駄じゃないだろ?
最後に……家に帰るまでがサイクリングです。みなさん、よい時間をお過ごしください。
またこんど!